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 しいほど輝いていた緑色の葉も太陽に染められるように紅葉してきた10月上旬。昼間の暖かさが嘘のように冷えてきた夕方時には部活で掻いた汗が体を冷やす。動いている間は良いがダウンでは逆に冷たさを感じるため早々に切り上げると水道へ向かった。


「毅彦は良いよなー。髪がバキバキに固まることも無いんだし」
「バリカンなら部室の棚にあったぞ?」


 冗談に怒った毅彦に軽く謝ると、床屋で頭を洗う時のように水道に頭をもたげて栓を回すと勢いよく水を降りかぶる。ガシガシと髪を洗うと砂が排水溝に向かって流れていくのが見えた。この時期は風が強くてやだよなあ、と一通り洗い流すと勢いをつけて頭を後ろへ反らし、そのまま水気を飛ばすように左右へ振る。


「ばっ、俺も濡れるだろ準太!」
「今年の一年投手はワンコなの〜?ははっ!」


 元気があって良いねえ、と現れたのは確か前ちんさん。おっとりとしている性格が親しみやすくて和さんの次に良くして貰っている二年の先輩。


「俺も水道使いたいから終わったら替ってー」
「あっ、すいません!どうぞ」


 飛び退くように一歩後ろに下がった毅彦の所に前ちんさんが来て、俺と並ぶように水道に立つ。風邪引くから早く着替えようと思い、前ちんさんにお疲れっしたと声を掛けて水道を離れようとしたら毅彦がその場から動かないでじっと一点を見つめていた。


「おい、毅彦。早くいこ、」
「前ちん先輩が…」



美形はスキンケアをかかせねぇんだよ



「前ちん先輩の秘訣はコレだったんすね?!」
「え?」
「部活後洗顔するとか流石っすよ、前ちんさん!」
「え、何が?」
「謙遜なんてしても無駄ですよ!前ちんさんのプリティフェイスの謎解けたりー!」
「そのたまご肌触っても良いっすか?!」





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つるつるたまご肌の秘訣


09,10,10



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