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□Hallowe'en_02
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女が出てくるから仮面を被って焚火をしなさい。
どっかの偉い人が言った儀式のような行い。魔女に食べられないように、子供だとバレないように、仮面を被って身分を隠す。

来る10月31日は楽しいたのしいハロウィーンの日。カボチャをくり貫いてそこに蝋燭を灯すだけで不気味な雰囲気に包まれる。町全体がお祭り騒ぎの様に賑やかで子供達は可愛い仮装をしてお菓子をねだりに行く。大人達は可愛い吸血鬼や魔女たちに悪戯されたいようにどっさりとお菓子を用意して待っている。

「トリックオアトリート…!」
ドアを開けると小さな来客者が両手を突き出しておねだりのポーズ。玄関脇の棚に置いてあるお菓子の籠から一掴みずつお菓子を渡すと、持ってきたカボチャ型のミニバケツに放り込む。

「テンキュー!」
「次はあっちの家に行こう」
「ダメだよバケツがもういっぱいだ」
溢れんばかりの色とりどりのお菓子に子供達は大はしゃぎ。山程のお菓子でお腹いっぱいになりたい。大好きなチョコレートを虫歯になるほど食べたい。思いつく限りの事を全部やりたいと考える彼らに少年は言った。

「あんまり欲張ると本物の魔女に連れていかれるぞ」
ほんの少しの遊び心で指差した先は向かい側の家。釣られるように子供たちの視線がそちらに向かう。

「家の前にあるジャック・オー・ランタンは魔女の使いだから気をつけて」
脅すように低い声で囁くと子供たちが騒ぎだす。身を縮こませて隣にいる子と手を繋ぐと我武者羅に走り出す。魔女に捕まったら大変だ。まん丸に太らせて食べられてしまう。窯に入れられてスープにされてしまう。恐ろしいイメージしか浮かばない彼らは急いで家へと帰る。

何て素直な子供たちだろう。しかし、少し驚かし過ぎたかもしれないと思いながら玄関を閉めようと思った時にふと視線を向けたら何やら違和感。



ジャック・オー・ランタンは行方知らず



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動き出したは異界の者

08,11,11


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