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 学校からシニアに入り、生まれついての体格とパワーから四番バッターに直ぐに抜擢され、中学でも当たり前のように野球部に入り、入部当初から部内で一目置かれていたことに少なからず天狗になっていたあの頃。親父に連れて行かれた大学野球で、俺の今迄の野球人生を覆す選手に出会ってしまった。

細身ですらりと長い手足は野球選手のようでは無いのに、投手が投げた白球を全て捌いてしまうバッティングセンス。的確に相手の隙を突き確実に稼ぐ足の速さ。

それら全ては俺が持つにも持てなかった繊細な野球の技術であり、誰にも真似の出来ない絶対的な才能であった。俺の確実に残るような成績には足元にも及ばない平凡な成績だが、確実に味方に貢献しうる成績を残すこの選手に嫌がおうにも惹かれてしまった。





「兄貴、部活の先輩で良くしてもらっている仲沢呂佳さん。」
「どーも…。うちの慎吾がお世話にな、」
「あ、あんた…!去年までN大の野球部に居ただろ?!」
「?居たけど…、俺のこと知ってる奴が居たとはな。」

慎吾に誘われて家に来たら、偶々居合わせたこいつの兄がまさか昔尊敬していた選手だったとは思いもしなかった。…しかし、まじまじと見ると鼻の形一緒じゃねえか。つか名字の時点で気付けよ、俺。



昔あっての今




「その超かっこいー!素敵!さすが島崎さん!ハート、きゃっ!…みたいに思ってた相手の家に今では入り浸りしてるお前はどちら様だよ。」
「可愛かったんじゃないんすかー?高校生の俺。」
「どぅあーれが高3にしてゴリラみたいな風貌の奴に可愛いって感情を抱くか!可愛いってのは歯磨き粉と間違えて洗顔で歯を磨いちまう慎吾みたいな奴を指すんだ。」
「………そんなんだから女逃がすんだよ。」
「おっ、ま!痛いところ突くなよー…。ついこの間フラれたばっかの俺のガラスのハートはブロークンハーツだよ。」





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尊敬していた人はかなりのブラコン


09,06,21



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