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□event
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 、『イケテルメンズ』と指名された高瀬を捕獲することに失敗した本山と山ノ井は、悔しさで苦虫でも噛んだかのような顔で資料と凝視していた。時間切れもあったが、何よりモテる男ならではの攻撃に心身共に損害を与えられた2人は、そもそもバレンタインの意味を履き違えている最近の若者に物申す、と拳を握り力説すると携帯を取り出しメールを打ち送信した。
「昼休憩中が正念場だぞ、本。4限は現社だから早弁出来るな。」
「おうよ!現社の授業はみんなやたらとテンション高いから食っててもバレないしな。それより山ちゃんの方こそ大丈夫かよ?」
「ふふふっ…、今日ほどデカぶつの大津に感謝する日は無いな。」
はっ、と納得したかのような顔をした本山は、先ほど名を呼ばれ振り向いた大津に向かって親指を立てグッジョブ、と言うと山ノ井に向かって首を大きく縦に振った。黒板が全く見えないから体を横に揺すっては、たまに余りのイラつきに椅子を蹴っていたことを謝るぜ…、と先ほどから名が挙がる大津少年に一礼するとタイミング良くメールの返事が返ってきた。
「2人共『了解』だってさ!」
「うし、そうと分かれば準備だ。山ノ井隊員例のブツは。」
「あるであります隊長〜。」
次の作戦のための準備をすると、体力温存とばかりに机に突っ伏した2人を叩き起す教師が来るまで数十秒前。



聖職者の死した日に黙祷を捧げよ




「で、2人は何やってるんですか?」
「んー、何かねバレンタインに乗じて恋人作ろうとするような不届き者に制裁と言う名の嫌がらせしてるみたいだよ。」
「あー…、なるほど。だから昼休憩と言うかっこうの告白タイムの時に、告白の定番の屋上をジャックしたんですね。」
「御名答ーこんな寒空の下弁当食べるはめになるとは思わなかったよ〜。おかげで俺達まで悪役じゃんね?」
確かに、と頷く青木と前川の視線の先には、先ほどから扉越しに女子生徒と攻防を交わす凸凹コンビの姿があった。





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屋上集合のメールは共犯者を集めるために



09,02,18


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