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に金星が煌めき、肉眼ではっきりと惑星が見る事が出来る澄んだ夜空。

学校から程近い、帰路の途中にあるコンビニの外で冷えた手を暖めようと息を当てると、白い煙りが空へと昇り消えていく姿を目で追った。



「ほら」
「わっ、あざっす!…肉まんあったかいすね〜」



松永も、真柴の肉まんと一緒に買ってきた缶コーヒーを一口飲むと、真柴同様空に向かって息を吐いた。



「クリスマスですね」
「クリスマス、…だな」
「俺達野球部に聖なる夜なんて無いですよね」
「聖なる夜に野郎がコンビニ前で肉まん食ってる時点でな」
「ですよねー…」

ははっ、短く笑うだけで息が白くなったので、また一口肉まんを食べ口に広がる暖かさを感じると、冷えた体も少しばかり暖かくなるのが分かった。



「誕生日が今日じゃないだけ良いだろ?」
「女の子ならロマンチックって思うんでしょうけど、男は思いませんからねー」
「収入の無い俺達にはひとつでも多く行事があったほうが得だしな」



例えプレゼントが減ってもクリスマスと言う聖なる日に生まれた事の方が嬉しいのだろうな。とロマンチックとは無縁な男2人は思った。



「無条件で欲しいもの買って貰えますからね」
「…まあ、そんなよこしまなこと考えてる時点で清い夜にはならないな」
「…っす。今年は、雅やん先輩に肉まんおごって貰えただけで嬉しいですよ」
「安い奴だな…。高い物は親にでも頼め」
「うっす。」



クリスマス近くに誕生日の人は可哀相だ。 プレゼントは1つに省略されるし、ケーキは大量生産で不味い。



「本ヤン先輩は、父の日と一緒にされてましたよ」
「自分が親になった時完全にまとめられるぞ」










‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
運動部にクリスマスは無縁です。



09,01,01


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