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8月もあと少しで終わると言う頃、蝉の鳴き声から鈴虫の鳴き声に変わる頃、夜がだんだん早くなってきた頃、焦り始めるのが学生なんです。



折角の長期休暇で、楽しい楽しい夏祭り!海!川!…なんてものは俺達野球部にある訳も無く、ひたすら野球に打ち込む日々。

別に野球が嫌になったって訳では無いけど、…むしろ大好きな野球が毎日出来て嬉しい位!…でもさ、この一言さえなければ、ね?



「おーし、今日で夏休みの部活は終わりだ!残り二日は十分楽しめこのタコ共!」



監督の声に皆が喜び、何やろうか考えただけで頬が緩む。久し振りの完全オフ!しかも、二日間も!うわー何やろ〜かな〜にへにへしちゃうぞー



「そのかわり、だ。…宿題の提出期限切った奴は一週間罰掃除!」



え、ちょっと待って何それ聞いて無いよ?!!俺宿題なんて一個もやってないし!あれ、てか宿題何処やったけ!?終業式終って部活から帰ってきて…あーもう分かんない!覚えてないよ!



「運動部は、特に練習が厳しく提出物を出さなくても優しいやさしい先生方は、何度も目を瞑ってきた。だがなあ、野球部!てめえらタコ共が一番提出率わりーんだよ!分かってっか!」



あちゃー監督相当ご立腹?でも実際、野球部員の提出率の低さを職員室によく行くタケさんが嘆いてたな〜



「特に利央!お前1学期ほぼ出して無いみたいだな?…提出しなかったらお前はプラス雑草取りだ。分かったかこのタコ!」



何で俺だけ名指し?!!しかも雑草取りまで!そんなことしたら準さんと投球練習出来ないじゃん!



「監督ー!そんなことしたら野球部が終わっちゃいますよお!」
「お前1人抜けたぐらいで終わるか!お前がちゃんと提出すれば良いだけだろ!」



うっぐ、ぐ…そう言われた何も返せないじゃんか!良いよ!迅に写させてもらうから!



「おい迅、利央に宿題写させんじゃねえぞ!」
「あ、っはい…!」



先読まれたし!しかもみんな笑い過ぎ!人事だと思ってさー兄ちゃんに教えてもらうから良いよ!確か美丞も土日は休みだったし!



「で?お前は俺に何をくれるわけよ。まさか見返りなしって訳は無いよな?」
「えっ、とマッサージ、…とか?」
「よし、歯食いしばって面貸せ。」


いやいやいや…!何で兄ちゃん無駄に爽やか笑顔なの?!!それに反比例して肩を掴む手が強いよ!痛いいたい!脱臼するからああああ!


「主が言ってたじゃねえか。右の頬を殴られた左の頬も差し出しなさいってよー。おら、出せキリシタン。」
「オレMじゃないからやだー!てか肩モゲルううううう!!」



結局マッサージと、嫌だったけどさ…怖いじゃん?桐青の情報で教えてくれた。…間違った分殴るっていう付属効果をつけて……





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