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チョークでコツコツと規則正しく音を出しながら黒板に書かれていく言葉の列。

まるで、舟を呼ぶ呪文の様に唱えられる教師の言葉に負けないように、背筋を伸ばして睡魔を追い払う。

教師に注意されない程度に喋っていた生徒の囁き声が止んだ。



(静かだな…)

珍しく音の無くなった教室に不信を感じた教師が、今まで教科書に向けていた視線を上げた。



「どうした」

先生の視線が真直ぐに俺をさした。否、正しくは俺の後ろの席の女の子。



生徒が手を挙げた事によって、何事かと皆の視線が彼女に集まる。

指された彼女は、ガタッと音をたて立ち上がると言いづらそうに答えた。




「先生…、もう一度席替えして下さい。」

「先生、俺もお願いします。」

次々と挙手され言われていく言葉。

何事かと先生も困惑顔。
…しかし、思い当たる原因が理解したのか手を額に当て、溜息を一つ。



「すまん…。俺が悪かった…、人選ミスだ」





お前デカ過ぎ!黒板見えないから寝てろ!!
(青木、見えないなら眼鏡を買ってくれ)
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