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暑さを凌ぐためか何なのか、アイスの入った袋を片手に来訪して来たタコが1人。



「ちっす!」



額にうっすら汗を浮かべ、気持ち悪い位の笑顔を貼り付けた後輩が遠慮も糞も無い様にズカズカと家に入って来た。



「何しに来たんだよ。」
「避暑地探しの旅っす。」



そう言うなり汗で張り付いたタンクトップを脱ぎ捨て、冷房の前で口を開けて涼しそうにしていた。



「髪切って下さい。」
「はあ?」
「金無いんで。」
「それだけのために来たのかよ…。」


馬鹿だ…と呆れていると、勝手に洗面台から道具一式を引っ張り出して来て、準備を始めた。

何故こいつが知っているのか疑問に思っている間に用意は終わり、椅子に座った慎吾は俺を促した。


「坊主で良いな。」
「んなことしたら、世の女が泣いちゃうんで。」
「笑い泣きか。」
「哀しくて!」





口喧嘩をしながらも、カットは進み話が終わる頃には終わりチェックのために鏡を渡した。


「これ何すか…後ろ。」
「リョータカット。」
「俺一言も言ってないっすよね?」
「どうしろとも言ってねえ。」


マジこの人ありえねえ…とうなだれていると、

「花道カットにするか?」



結局坊主じゃねえかと思ったがこれ以上切られるよりはましだと思い、そのまま風呂場を借りて肌についた髪を落とし鏡に映るうなじに溜息が出た。





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