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□Challenge!
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これの続編的な…。







 しばかり寂しくなった後ろ髪の部分に手を添え違和感の残るうなじに盛大な溜息が零れる。
昨日の今頃、急に家に押しかけ「髪を切ってくれ」と言ったのは自分だが、人を間違えたと事が終った後になって後悔。

先にどの様に切るのか言わなかった自分も悪いが、まさか借りていたマンガを見本に切るとは思いもしなかった。


(生えそろうのに何ヶ月掛かるかなー…。)


 朝から何度目かの溜息かも分からない回数を吐き、この髪型を見たチームメイトがどの様な反応をするか容易に想像がついてしまう。足取り重く部室の扉を開き、先に来ていた数名の後輩が言葉通り目を点にさせ俺の後頭部を凝視しているのが分かる。


(何この空気、キッツ!視線だけで殺される!構って欲しいがために上履き盗まれたと騒ぎ自作自演で同情を買うような痛い子に見えているのか?!もしくは自分主催のドッキリとか思われている?!もういっそのこと笑ってくれたほうが楽なんだけど!?)


 ロッカーに向かって着替えている背中に容赦なく突き刺さる視線が痛い。何故こう言う時に限って和己達3年はいないのだ。言い訳の一つも出来ずに羞恥で死ねそうだ。いっその事後輩の利央や準太、誰でもでも構わない。この空気を変えられる人物!


「っはよーす!」
「おは〜、…って誰その髪型!」


 すみません神様つい数秒前の言葉を撤回させて下さい。誰でも言いとかやっぱ無いわ。つかこの世に神は存在しないのか。一応キリスト系の学校だが今は神と言う存在を全力で否定する。何故この空気を打開する相手がまさかの3の4コンビなんですか。


「ロッカーに頭突っ込んでも隠すべきところは丸見えだよ慎吾〜。」
「うわっ、何このジョリジョリ感!これは癖になるぞ、山ちゃん!」
「いやん、何これ新世界の扉が開きそうなんだけど祐史!これは俗にいう坊主萌えだね!」
「山ちゃんちょっと違うぞ。これはリョーちんカットだからこその新触感なのだ!上はふさふさ、下はジョリジョリ。半坊主萌えとでも言うべきなのか?!」



殺しはしない殴らせろ!



「あそこのタコ3人は何でカバディしてんだよ。」
「あ、監督。何だが新境地が何だかで。」
(普段の練習よりいい動きしてんじゃねえか…。)





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「萌え」とか言う球児はイヤだ


09,08,18


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