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□Challenge!
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 年掛かる出張先の仕事を早々と終わらせることに成功した俺は、一人暮らしをしているマンションに帰るわけでもなく実家へと直帰した。早めの夏季休暇に実家でのんびり出来ると思っていたのがとんだ誤算だった…。


「7回の時、何で彼処でバントしたとか殴られてさ〜」
「あっ、でもその後焼肉屋に連れてってくれて、」
「大型バイクの免許取ったからって今日乗せてくれるんだよ!」


 嬉しそうにまあ、その先輩について話す我が弟は可愛いが、ロカさんって方は随分と慎吾を溺愛してるみたいだな。普段は素っ気ないが、何かあると手を差しのべてくれるとは今で言うツンデレって奴か?しかし、慎吾みたいな自己完結型には正面からぶつかってくる年上の方が合ってるのかもなあ、とか思ってみたりする反面、とうとう慎吾も兄離れしてしまうのかと悲しみもあったり。


「兄ちゃんもロカさんにあってみたいな−…。」
「えっ、」


 ボソリと零した言葉をそのままに来訪者を確認しに玄関へと向かう。何となく溢した言葉だが嘘偽りなどない。弟が珍しくなついた相手に対して単純な興味が半分、弟を任せることが出来るか自分の目で確かめたいのが半分。…所詮俺も唯のブラコンなんだよなあ、と自嘲の笑みが浮かぶ。


「どちら様ですかー?」


 相手を確認せず扉を開くと見知った顔と視線がぶつかった。…何で仲沢が俺んちに来てるんだよとか、何でコイツはこんなに目を見開いてんだとか、ごちゃごちゃと頭の中を駆け巡る。


「呂佳さん!」


 居間から駆け足で来たもんだから、フローリングに滑って壁に激突しながらも走ってきた慎吾。何で家に来たんすかって騒ぐ慎吾に対して、何で俺に教え無かったと怒鳴る仲沢。

 理解に苦しんだが、慎吾が言うロカさんは仲沢で、ロカさんを勝手に女と思い違いしてたのは俺だったってこと。



包丁とバット装備の俺を倒せる男じゃないと認めない


「よくも弟をタブらかしてくれたな仲沢あああ!」
「はあっ?!兄貴何か勘違いしてる!」
「慎吾お!何で帰ってきたこと黙ってたあああ!」





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thank you…!!!
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