text

□Challenge!
29ページ/53ページ







 チカチと定期的に時計の針が静かな部屋に時を刻んでいく。窓の外からは楽しそうな子供逹の笑い声、時おり聞こえる腹の虫がゆっくりと流れる時間の中で唯一"イマ"を感じさせるものとなっていた。


「山ノ井隊長、本山一等兵の腹が何かよこせと訴えてきました〜。」
「なーに〜我々の食料もあと僅かしか無いと言うのにか〜。」


太陽が垂直に昇ったころ、窓の外から風に乗って漂ってくる家庭の匂いが鼻孔をくすぐると、それに便乗するように腹の虫が鳴る。


「もうポテチ無いの〜?」
「分かんな〜い。祐史皿ん中確認してよー。」
「えー…起き上がるの面倒臭い。」


部屋の真ん中にあるテーブルを挟んで、172センチと180センチもある大きな体を横にし転がる男が二人。大の字に寝転び、長い四股を投げ出す無防備な状態。山ノ井は、右手を腹の上に乗せ腹の具合を確かめる。


「祐史の腹の虫と共鳴し始めちゃったじゃ〜ん。」
「マジかーでも腹の虫が鳴る割に食欲湧かねえな〜。」


天井を見上げていた顔をそのままに視線だけで本山のほうを見ると、本山も同じように視線だけ山ノ井の方を向いていた。


「はあー…生まれ変わったら雲になりてーな〜。」


窓から見える飛行機雲に視線を移すと、隣の山ノ井からは、じゃあ俺は保護動物になる、と返ってきた。



ゴロゴロ怠惰に休日消費



「で、お前らテスト期間中一切勉強しなかったと?」
「おー!赤点取らなきゃ大会出れるし〜?」
「無理しないってのが俺達のポリシーだし?」

「勉強しないで平均取れるコツを、必死に勉強してギリギリ赤点免れた利央に教えてやれ。」





‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
要領の良さならダントツの凸凹


09,05,24


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ