text

□Challenge!
26ページ/53ページ







 将の河合と副主将の島崎と山ノ井は、昼食を食べながら放課後の練習メニューの打ち合わせをするため屋上への階段を上っていた。



屋上への扉を開くと春の暖かい風と日差しが燦々と降り注ぎお昼寝日和ですね〜、と語尾を伸ばしながら屋上の床に大の字で寝転ぶ山ノ井。それに対して苦笑い気味に頷く河合と制服が汚れるから止めなさいと怒る島崎が続いて屋上へと出た。






「コンクリがいい感じにあったけ〜ポカポカや〜うへへ」
「制服汚れるから止めろっつてんだろ!!」
「慎吾、蹴ってやるな!これでも大事な中堅手だぞ!」

猫のように背中を丸めてゴロゴロする山ノ井に、蹴りの一つでも入れんとばかりに怒る島崎を羽交い締めして河合が落ち着かせる。暫くすると冷静になった島崎は、まだ言い足りなさそうに山ノ井を睨めつけながらバッグから昼食の弁当を取り出した。



試合中は中堅手と二塁手と言う固い守りと連携で頼りになる仲間だが、普段の二人は水と油、犬と猿、ハブとマングースと例えるなら何とでも言えるが要するに相性が宜しくない。
だらしなく気ままに振る舞う山ノ井と神経質できっちりしている島崎はよく衝突する。しかし、野球のセンスについてはお互いに尊重し合っているのか部活中は当たることが無い。

そんなところが良いんだけどな、と思考を巡らせていた河合の耳に突如痛烈な叫び声が飛び込んできた。



「ど、どうした山ちゃん…?」
「弁当玄関に忘れたー今日は好物の唐揚げくんいれたって姉ちゃん言ってたのに〜!」
「高3にもなってたがが唐揚げだけで泣くなよ。おら、俺のタコさんやるから」
「慎吾―お前良い奴だな〜大好きだー!」
「だあああ抱きつくなうっとおしい!男に抱きつかれても嬉しくねえよ!!」
「ほら、山ちゃん。俺の卵焼きもやるから機嫌直せ!」


虫の知らせ発動



「おっ、慎吾モテモテじゃん」

3人しか居なかった屋上に一つ増えた存在に目を向けると、大量のパンを抱えた本山が3人の輪に近付いてきた。


「え、これ全部お前が食うの?」
「んなわけないでしょーが!…ほれ、山ちゃん。メロンパンとクリームパン。他は適当に取れ」
「本、何で山ちゃんが弁当忘れたこと分かったんだ?」
「あー…、勘?長年付き合ってると分かるって言うの?」





‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
見えないアンテナで繋がっている2人


09,04,25


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ