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□Challenge!
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 たい空気を切り裂くように走る白球を綺麗にグローブに収める河合。涼しい顔をして放つ本人とは打って変わって、白球は獰猛な生き物の様にグローブの中で暴れていた。
しかし、そんな猛獣を何無く静めてしまう河合に意識が捕らえられる。

(どんどんシンカ―の切れが良くなってのに、一度も弾いてないなー…。)

俺も実践踏んで行けば上手くなれるかなあ、とグローブを嵌めていない左手を開いたり閉じたりして指の感触を確かめる。

「…っ、おい…てんのか、…げんに」
「へ…?」
「先輩ほっといて他に意識飛ばすとは良い度胸じゃねえか!!あ”あ”ん?!」

準太、と河合が制止の声を言うよりも一歩早く白球が利央の脇腹目掛けて真っ直ぐ放たれた。
脇腹を抑えて蹲る利央に駆け寄る先輩2人。峰は大丈夫かと利央の安否を心配し、河合は止めを刺そうと近づく高瀬に対し、利央の前に立ちはだかり壁を作った。

「和さん止めないで下さい!今こいつを潰しておかないと今後の桐青が…!」
「確かにピッチング練習中上の空だった利央は悪いが、」
「いったああああああい!本気で痛い!!今何が起きたの?ねえ!?一瞬息すること忘れたよ?!!」
「大丈夫か利央!!?」
「峰さん今俺に何が起きたの?!ばあちゃんに会って来ちゃったんだけど!!」
「喚けるくらいだから大丈夫なのか?お前準太の直球、しかもほぼマックスじゃねえのかって言う球が当たったんだぞ?」



一時間で良いから怪我の無い身体で生きたい



「また痣増えたしー…。」
「利央…その脇の下の痣はどうしたんだ…?中々そこに球は当たらないだろ?」
「和さん聞いてよー!これ意味もなく準さんに空手チョップ食らった痕!!」
「人聞きが悪い奴だな!お前が先輩である俺の言葉を無視したからだろ。」
「準太もすぐに手を出すなよ。大事なキャッチャーだぞ?」
「だって峰さん!こいつ俺の方を一回チラ見して分かった上でシカトこいたんすよ!?」





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口の悪いエースと学ばない二番手


09,04,07


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