text

□Challenge!
21ページ/53ページ







 らゆらと揺れる車内、窓から差し込む暖かい日差し。疲れた体を優しく包み込む空気が眠気を誘う練習試合の帰り道。運良く車内は誰も居なく、部員は適当に席に座りすぐさま寝るもの、周りの者と喋るなどの行動を取っていた。
「前ちん先輩食べますー?」
「貰うー。何を?」
「m&m'sですよー。疲れた体には糖分だって兄ちゃんが家出る時にくれたんです。」
「呂佳さん分かってんねー。じゃあ少し貰おうかな。」
手を出すと持っていた袋を傾け数粒のチョコが転がって出てきた。利央にお礼を良い掌に乗ったチョコを一気に口の中に入れた。
「それカッコイーですよね〜。毎度見るたび思ってやるんすけどそこまで上手くいかなくて…。」
「これ?そんなカッコいいもんでもないよ?」
横にやってきた高瀬に苦笑いで返すと、高瀬はもう一度利央からチョコを貰い試みてみるが綺麗に口に収まらず弾き飛んでしまう。食べ物で遊んじゃダメでしょ、と高瀬を叱咤した島崎も何をやっているのか興味を持ち、利央と高瀬の後輩に囲まれた前川にどうしたのか問うと、手首を叩き掌に乗った物を口に入れる簡単なものなのだが、綺麗に宙に浮かず、浮いても口に入れるのが大変なこの行為に関心を持ったらしい。
「俺も3回に1回成功すればいい方だよ?前ちんあれも得意だよね。ツートップ。」
「あれだってタイミングさえ分かれば誰だって出来るよー?」
「親指でコイン弾くだけの行為がなかなか上手く上がらないもんなのよ?」



どうでもいい事だったら器用なんだよなぁ。コレ、何かに活かせないかな



「前ちんのペン回し見たことあるか?あれマジ神業だから。」
「ペン回しプロの雅やんが言うほどだからかなり上手いのか…?」
「雅やん絶賛し過ぎだよ。ただ指の間をくるくる縫う程度だからね?」
「高速でな。ちなみに両手同時に。」
「すげえええええええ?!!」





‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
細かい特技をいっぱい持ってる右翼手




09,03,26


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ