text

□Challenge!
19ページ/53ページ







 歩前を歩く長身の彼を見上げる形で何度も何度も声を掛けたり、背中を突いてみたり、肩パンチをしてみたり、ローキックをかましてみたりと色々とアクションを起こしてみるものの反応が返ってこない。何時もなら横に並ぶように歩く彼の背中を見送り、廊下に立ち尽くしてしまった山ノ井。そんな山ノ井を視界の隅に入れた河合は、教室で仮眠を取っている島崎に聞いてみた。
「おい、慎吾。山ちゃんと本やんは喧嘩でもしたのか?」
「あー…?そういや今日は平和だな。」
「慎吾が仮眠取ってるなんて珍しい光景だもんな?」
「全くだ。仮眠を取るってだけの単純な行為が出来る平凡が懐かしいってどんだけ俺可哀想な子なの?」
その後の休み時間中、河合は島崎から日頃から受けている山ノ井と本山の悪戯を苦笑いで聞くハメになるのだが、頭の片隅では二人の険悪な雰囲気を心配していた。

 場所は変わって3年4組の教室。席替えにより本山が前の席で、山ノ井がその後ろと言う前後する席になったのだが、授業中何かあると後ろの山ノ井に話しかけてくる本山が今日は一度も振り向かない。現文の先生のヅラがズレテいても、英語の先生の社会の窓が開いていても一切話しかけてこない。細かく千切った消しゴムをミサイルと言って頭に投げつけても、背中を喝と乾いた音が鳴る程定規で弾いても、痛そうに背中を丸めて擦る位で怒る気配すら無い。思いつく全ての手段を片っ端からやっても目すら合わせてくれない本山に対して一種の悪意すら覚えたが、本人が何とも思っていないことに不貞腐れた山ノ井は、午前の授業は全て放棄し、机に突っ伏してしまった。

「圭輔が俺のクラス来るなんて珍しいな?祐史と喧嘩でもしたのか。」
「雅やん聞いてくれる?実はさ〜…。」



あんな事言うつもり無かったのに、怒ってたらどうしよう…、いや、怒ってたら謝りますがね



「今すぐ謝って来なさい。」
「え〜…だってジョークだよ?」
「お前は自覚が無いから質が悪いんだよ。何でマカロニ食ってる奴の目の前で芋虫みたいって言うんだよ。」
「いや…、だって芋虫に見えちゃったんだもん。」





‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
思いついたことをスグに口走る奴っているよね



09,03,05


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ