薄桜鬼T

□いちご牛乳
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「なあ、千鶴。」
「ん?どうしたの?」


千鶴は先程の友人と話している途中だったが平助は気にせず話しかけた。


「千鶴の好きな奴って誰だよ!」
「「ええ!?」」



平助は勢いあまりかなり大きな声で尋ねてしまい、それはクラス全体に響く。
次の瞬間シーンと静かになりそのあとはわあと皆大騒ぎ。


しかし当の本人は誤解だよ!と訴えていた。
平助はいちご牛乳について聞いたことを全部話し、もう一度問いかけた。


「で、本当にいないわけ?」
「う、うん・・・。」


その歯切れの悪い返事はどう考えても嘘をついてるようにしか見えなかった。

(本当はいるのか・・・。)


チク・・・胸に鈍い痛みが走った。
平助はその痛みの正体を知っている、恋だ。
長年一緒にいた平助と千鶴はお互いに意識しても不思議ではない歳なのだ。


「いちご牛乳は本当にたまたま貰っただけだよ?さっき教えることが出来なかったのは皆に口止めされてたからなの・・・本当ごめんね?」
「・・・あぁ。」


このときにはもう平助の耳にはなにも聞こえてなかった。
千鶴に想い人がいる・・・それがどんなに平助の胸をえぐったことか。
千鶴はそんな平助を首を傾げて見ていた。






「ねー千鶴。ラブレターもう入れた?」
「しー・・・っ声大きいよ・・・。」
「あ、ごめんごめん。」
「ラブレターならもう入れてきたよ。」
「そう・・・上手くいくといいね!」
「うん!」



放課後、帰り支度をしているときに聞こえてきた会話。
それは平助にとってとても重要なものであった。

(千鶴の想い人・・・思い浮かぶとすれば総司・・・いやいや一君・・・うーん。まさか山崎君とか?)

考えても考えても分からず、平助は行動に出る。
鞄を持って急いで下駄箱へ走っていった。



一応、ラブレターらしきものは見つからなかった。
目星はつけておいたのだが全部はずれでホッとした平助であるが同時に不安になった。
自分が認める男達でない者にラブレターを書いたということに不安になったのだ。

(千鶴が幸せなら別にいいけどさ・・・。)


深いため息をつき、帰ろうと自分の下駄箱をあけるとそこには・・・。



「これって・・・。」
「あ・・・。」


平助がちょうど自分の下駄箱に入っていたそれを見つけたとき、千鶴がやってきた。
顔をほんの少し赤くして俯く。


「このラブレターって・・・千鶴?」


宛名は書かれているけど相手の名前が書かれていなかった。
だがそのやわらかく可愛らしい字は千鶴のものだった。


「うん・・・。」


千鶴は真っ赤な顔でこくりと頷いた。


「お、俺さ・・・千鶴に好きな奴がいるって知ったときすごいショックでさ・・・。」
「う、うん・・・。」
「その・・・千鶴のこと好きだ。俺の彼女になって下さい。」
「・・・喜んで。」








End.
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