薄桜鬼T

□紹介できない想い人
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私と風間さんは敵同士で、決して結ばれることなどないと私は信じて疑わなかった。
でも少しずつ風間さんを知っていくうちにいつの間にか惹かれていって気づけば、彼の腕の中にいた。

風間さんの腕の中は温かくて心地よかった。



「でも・・・紹介できないのが残念だな。」


新選組は今では家族同然。
お世話になった人たちだからしっかりと本当のことを話しておきたいのに。


千鶴はむむと唇を尖らしていい方法がないかと探してみる。
でも全然思いつかず、すぐに後ろに倒れてため息をつく。



「はぁ・・・。」
「ため息などついてどうした?俺に会えなくてそんなに寂しかったか?」



あー・・・ついに幻聴まで・・・。
ってえ?!あれ、幻聴じゃない・・・。



千鶴の顔を覗きこんでるその人はどっからどう見ても風間千景本人。
あまりの驚きに大口を開けて叫ぶ千鶴の口を慌てて塞ぐが時すでに遅し。
バタバタと騒がしい足音と共に新選組が揃いも揃って千鶴の戸を開けて入ってきた。




「千鶴をどうするつもりだよ!」
「どうするもなにも・・・我が嫁をどうしようと俺の勝手だろう?」
「よ、嫁って・・・千鶴!本当なのか?!」



平助が慌てて千鶴の方を向きそう問いかける、千鶴はコクンと頷いた。
それには皆驚き、ポカンと口を開けてまだ状況を理解できていないようだった。



「あの、ごめんなさい・・・。ずっと、ずっと言おうと思ってたんです・・・。でもなかなか言えなくて・・・。」
「・・・雪村君はそれでいいのかね?」



優しく井上がそう聞くと千鶴は、はいとはっきり答えた。
その姿を見て井上はにっこり笑い、君が幸せならそれが一番正しい答えなんだろうと風間達のことを認めてくれた。

嬉しそうな千鶴の姿を見て文句など言えるはずもなく平助達も笑顔で千鶴に幸せにと言った。




「あ、ありがとう、ござい、ます・・・!」



千鶴は泣きながら微笑んだ。






(でも千鶴を泣かせたらすぐ連れ戻す!)






End.
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