薄桜鬼T
□君がいない夏
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君がいない夏は涼しかった。
君がいなくなって、何年目の夏だろうか。
もう指が足りなくなるぐらい君なしで夏を迎えた気がする。
君がいた頃はいつも君が傍にくっついていた。
だから暑い夏が更に暑かった。
でも今は、傍には誰もいない。
僕の横はいつも空いていて、夏なのに涼しく感じた。
「ねぇ、千鶴ちゃん。君は今どこにいるの?」
太陽を見上げて、そう問いかける。
誰かが答えてくれそうな、そんな気がして。
でも答えてくれる人などいない。
僕を邪魔だなという目で横切っていく人間。
どの人間も僕にとっては、いらない人間。
欲しいのは千鶴ちゃんだけだ。
「帰ってきてよ、千鶴ちゃん。寂しくて死んじゃいそうだよ。」
君がいない夏
(昔も今もずっと、想い続けている)
End.