薄桜鬼T
□大人の余裕は結構ギリギリ
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今日も相変わらず千鶴は可愛くて、思わず抱きしめたくなる。
でも俺は教師で千鶴は生徒、いくら付き合ってても立場上好きに触ることは出来ない。
下手に触って、この学校にいられなくなったら千鶴を守ることはできなくなる。
学校にいればいつでも守ることができるから俺は大人の男として結構我慢している。
「はー・・・だる。」
思いっきりため息をついた俺に土方さんは鋭い睨みを向けた。
「でけぇ声でそんなこと言うじゃねぇ、仮にもお前教師だろうが!」
「仮にもじゃないって、教師だ。」
そうだったなと冷たい返事を返してまたテストの丸付けを始める。
また額付近に青筋が立っているのは例のあいつのテストのせいだろう。
あえて名前は挙げないが、千鶴をいじめるのが趣味の男だ。
「あー・・・今日って千鶴のクラスって、体育あったっけ?」
「千鶴ちゃんのクラス?あ、2時間目にあるぜ、左之。」
「お、そうか。」
今日は体育あったか・・・千鶴のこと堂々と見てても何も不思議に思われないな。
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「おーい、集合しろー。」
「「はーい。」」
集合をかけると全員駆け寄ってきて、その中に千鶴もいた。
俺のことを意識してるのか顔を赤くしてちらちらと俺のほうを見ている。
あまりにもその様子が可愛くて、俺はぶはっと笑ってしまった。
「今日は二人一組でバドミントンするから、二人組みになれー。」
俺がそういうと、すぐに友達同士で組み、きゃきゃあと騒ぎ出す。
千鶴の方を何気なく見ると、一人ポツンと立っていた。
「どうした、ち・・・雪村。」
「あの、いつも一緒にいる友達が今日休みで・・・。」
「そうか、じゃあ俺と組むか。」
「え?」
ちょうどいい、千鶴と普通に接することができる。
過剰なタッチさえしなければ千鶴に触れることもできる。
「なんだ、俺じゃ嫌か?」
「ち、違います・・・、原田先生と少しでも一緒にいれると思うと嬉しくて・・・。」
・・・馬鹿、なんでそんな可愛いこと言うんだよ。
そろそろ俺だって限界だっていうのに・・・。
大人の余裕は結構ギリギリ
(ああ、彼女は天使の姿をした小悪魔です。)
End.