薄桜鬼T

□不意打ち
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彼女はいつものように困った顔で保健室を訪れてきた。
俺はいつものように雪村君に椅子を用意して座らせた。


「今日も追い掛け回されていたのか?」
「は、はい・・・。」
「はぁ・・・毎日大変だな君も・・・。とりあえずこれでも飲んだらどうだ?」
「あ、頂きます・・・。いつもありがとうございます。」


俺は雪村君の好きなココアを渡した。


雪村君は毎日、新選組の幹部に振り回されている。
その理由は一応知っているから、きつく言うこともできずにいる。

雪村君は新選組にとって大事な存在で、俺にとっても大事な存在だ。
だから構いたくて仕方がないのだろう、それを分かっているから注意できないのだ。





「しっかりと睡眠はとっているのか?」
「あ、はい、一応。」
「そうか、それならいい。もし辛かったらいつでもここへ来るといい。ベッドなら貸すことができる。」
「ありがとうございます。」


雪村君はそうお礼を言うと、優しく可憐に笑った。


「本当に雪村くんは可愛いな。」


あまりにも可愛く笑うから言葉に出てしまったときは自分でも驚いた。



「・・・え!?」
「あ、な、そ、その・・・。」
「・・・冗談ですか?」
「いや!冗談ではない!俺は本当に君のことを可愛いと思っている!」
「・・・!!」


自分でも驚くほど、大きな声だった。



「・・・あの、嬉しかったです。山崎さんにそう言ってもらえて。」
「そ、そうか・・・。」
「山崎さんもかっこいいですよ。」
「!!」


(不意打ちは卑怯だ・・・。)







End.
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