薄桜鬼T

□kiss
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好きな人とキスしたい、抱きしめて欲しい。
そう願う私は欲張りですか?変ですか?

初めて恋をした相手は先生だった。
決してバレてはいけない想い、でも止めることができず私は悩んでいた。



「原田先生・・・。」

自然とそう呟いていた千鶴。
背後から想像してなかった人の・・・愛しい人の声が聞こえて体を震わせた。


「なんだ?そんな驚かなくてもいいじゃねぇか。それより俺のこと呼ばなかったか?」
「い、いえ・・・。」


原田左之助は、女子男子から絶大な人気を誇るとても気さくな先生。
そして千鶴の想い人でもあるのだ。
その人がいきなり現れたので千鶴は驚き、体を震わせたのだ。

そんな千鶴を見て原田はニヤリと笑い、首に腕を回した。


「俺に隠し事か?そんなことするとおしおきするぞ。」
「え・・・?」


そう言ってすぐに原田は顔をぐっと近づけてきた、千鶴との距離3cmほど。
そして少しずつ唇と唇が近づいていく、もう少しで触れる・・・というところで別のところがぶつかり合った。


コツンッ


「へ?」


ビックリして変な声がでた千鶴のおでこには原田のおでこがくっついていた。

「あ・・・!」


キスされると思った千鶴は自分が恥ずかしく思えたが、それ以上に残念という思いでいっぱいだった。
その千鶴の思いに気づいているのかいないのか分からないような笑みで原田は千鶴のことを見ていた。


「び、びっくりさせないで下さい・・・!てっきり・・・てっきり?」

(あれ・・・私今、何て言おうとした?・・・この気持ちはバレちゃいけないのに・・・。)


自分の発しそうになった言葉に驚いていると、原田はにやと笑った。





「てっきり・・・?」
「え、あ、いいえ!なんでもないです!」


慌てて否定するが原田相手ではそう上手く行かず、どんどんと原田が有利な立場になっていく。
千鶴は真っ赤になったり青くなったりと百面相をしている。
その顔を見てぶっと吹き出している原田は真のドS王子である。


「てっきり・・・こうされると思ったんだろう?」
「え・・・?」


グイッと腕を引っ張られてボスッと原田の胸の中に閉じ込められる。
そして千鶴唇はずっと求めていた人によってふたをされていた。
フレンチキスからどんどん激しいキスになり、千鶴の意識は飛びかけていた。

しかしこの甘い感覚に千鶴は酔いしれていた。


「はぁ・・・っ。」


長い長いキスから開放された千鶴の唇はまだ熱を帯びていた。


「な、何で・・・っ。」
「何でって・・・お前が可愛いのが悪い。俺だって男だ、好きな女とキスしたいとか思うのは当たり前のことだろ?」


それは千鶴にとって一番嬉しい言葉であった。
叶わないと思っていた恋は一番幸せな形で叶ったのだ。
あまりの嬉しさに涙が零れ落ちていた。


「ふっ・・・ひっく・・・うぅ・・・。」
「な、い、嫌だったか!?」



経験豊富な原田は今までに女の子を泣かしてしまった経験がないのでとても慌てた。






「ち、ちが・・・っ。」
「ん?」


頭をわしゃと優しく撫でてやると次第に落ち着いていき涙も止まった。
原田は無理に言葉を急かすことはせず、千鶴自ら喋り始めるまで待ってやった。
その優しさが千鶴にはとても嬉しかった。


「あの・・・私ずっと原田先生のこと・・・その・・・。」


顔を真っ赤にして想いを伝えようとするが言葉が上手くでず口ごもる千鶴。
そんな千鶴を愛しそうに見つめて微笑み、抱きしめて言った。


「俺は千鶴のことが好きだ・・・返事は?」
「・・・私もです。」


やっと言うことができたとホッとする千鶴を見て原田はまた笑った。
そして何かを思い出した。



「ここ学校だったな・・・誰かに見られたりは・・・してないな。」
「・・・は、恥ずかしい・・・!」


(完全に出て行くタイミング失ったじゃねぇか!)
(さ、左之は千鶴ちゃんが好きだったのか・・・!)








End.
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