薄桜鬼T
□兄と妹という鎖
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ドドドドド・・・
毎日屯所に響く大きな足音。
今日も来たな・・・と身構える千鶴の部屋の戸をスパーンと勢いよく開ける者・・・南雲薫。
「千鶴!俺の可愛い妹!」
「・・・薫。そんなに毎日来なくても大丈夫よ?皆さんとっても優しいし。」
「お前は本当鈍いね・・・。いい?男ってのは皆狼なんだよ?」
お、おおかみ?とその意味が分からず首をかしげる千鶴に薫はさらに深いため息をついた。
そして切なそうに笑う。
「千鶴と俺・・・兄妹じゃなかったらよかったのにね・・・。」
その声は本当に小さくか細いものだった。
「え?」
思わず出た言葉にハッとなり口を押さえる。
そして千鶴を見つめ、気にしなくていいからと一言。
(俺・・・何言ってんだろ。千鶴への想いはもうなくそうって決めたのにな。)
彼の千鶴に対する妹以上の想いは絶対に報われることはないだろう。
兄と妹。
時にはその関係が重く圧し掛かることもある。
薫はふっと深呼吸を1つして包みを差し出す。
「さてと・・・今日のお土産はコレだよ。」
「わぁ・・・!桜風屋さんのお団子!」
彼は普段と変わらぬ態度で今日も接する。
それが彼が選んだ道であり、彼女への想いでもある。
「俺のこと好き?」
「うん!薫のこと大好きだよ!」
「・・・俺もだよ。」
(俺はこれからも千鶴を見守っていよう。
たとえ千鶴が他の誰かと歩む道を選んでも・・・。)
兄と妹という鎖
End.