薄桜鬼T

□強く優しい彼女
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彼女・・・雪村君のことを目で追うようになったのは数ヶ月前―・・・

満月の下で1人泣く彼女を見てから。


その時の雪村君はとても綺麗で切なそうだった。
両親を探している雪村君にとって何の情報もない毎日、男所帯での生活は辛いもののはずなのに、なぜ逃げないのか。
どうしてそんなに強いのか、どうしてそんなに優しいのか。

それが不思議なだけ、決して彼女に好意を持っているわけではないと自分に言い聞かせた。



「あ、山崎さん!」
「ん?あぁ、雪村君か。どうした?」


長い髪を揺らして駆け寄って来た彼女はいつもと変わらぬ笑顔で、持っていた包みを差し出した。


「これは?」
「これ、近藤さんから頂いたお団子なんですけど、一緒にどうですか?」


予想していなかった言葉に俺は驚き言葉が出てこなかった。
自分をなぜ誘ったのか。
仲がいい人なら他にいただろうに。


「俺でいいのか?」
「え?山崎さんと食べたいから誘ったんですよ?」


彼女はクスクスと可愛らしく笑って、俺を見つめた。



「もしお忙しいようでしたら他の方と食べますが・・・。」
「いや、頂こう。」
「有難う御座います!では、お茶の用意を・・・。」


その後、雪村君と食べた団子はとてもおいしかった。
それは彼女と一緒に食したからおいしかったのだろう。



いつだったか誰かが言っていた、“大事な人との食事は最高よ”

それは本当だったらしい。








End.
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