薄桜鬼V
□やっぱり一番好き
1ページ/2ページ
最近の悩みと言えば、彼女である千鶴が乙女のために作られた乙女ゲームにハマりあまり構ってくれなくなったこと。
友達に勧められ最初は乗り気じゃなかったのだがいざプレイしてみると面白く、千鶴はあっという間に乙女ゲームにハマったらしい。
今では、ゲームの感想を登下校の際に平助に話すほどに。
嬉しそうに微笑みながら、ゲームの中の男の話をする千鶴。
いくら、現実には存在しない男だからってなんかむかつく。
平助は最初こそは我慢していたもののだんだんと我慢できなくなっていた。
「へー。でも実際存在しないじゃんか。そのゲームどこが楽しいわけ?」
「んー・・・。女の子が喜ぶような言葉を沢山言ってくれるとこ?」
それを聞いた平助は、今までの自分の千鶴に対しての愛情表現の仕方を思い出した。
思い出してみると、抱きしめるかキスをするかしかしていない。
言葉で思いを伝えた記憶が全くない。
(そ、そっか・・・女子は言葉にして欲しいのか・・・。)
驚きつつも感心した。
乙女ゲームってすごいな女子をあんな笑顔にさせるんだもんな、と平助は乙女ゲームの凄さを思い知った。
(てか、納得してる場合じゃないって!俺、ゲームにも負けてる!!)
このままではゲームに千鶴の心を持っていかれる、そう思った。
所詮ゲーム、平助は色々と間違った考え方をしていた。
千鶴の平助への思いはそんな単純で簡単なものではない。
千鶴だって平助が大好きなのだ。
「でもね、」
「ん?」
「やっぱり、平助くんが一番好き。」
「・・・っ」
不意打ちだった。
千鶴はとびっきりの笑顔で、いつも以上の可愛らしい笑顔で、そう言った。
平助は恥ずかしくて顔が真っ赤になっていた。
そんな平助を見て、千鶴はふふと声を出して笑った。
「大好きだよ、平助くん。」
「俺の方がもっと好きだ。」
「そんなことないよー。」
「ある。」
(私の方が絶対好きだよ!)
(・・・じゃあ、愛してる。)
やっぱり一番好き
End.