薄桜鬼V

□笑顔が見れたから
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久々に千鶴は買い物に出かけたのだが、雨が突然降ってきてずぶ濡れになって家に帰ってきた。
土方は急いで千鶴に風呂に入るように伝えた。
その間に土方は部屋を温めておいた。


30分ほど経ち、千鶴は現れた。
いつも綺麗にまとめている髪は下ろしていて、まだ少し濡れていた。
土方はちょいちょいと千鶴を手まねきして、千鶴が近づいてきた瞬間腕を引っ張り自分の前座らせた。


「ひ、土方さん?」
「しっかり乾かさねえと風邪ひくぞ。」


そう言うと千鶴の肩に掛けてあった布で、優しく乾かし始めた。
髪を引っ張らないように注意し、千鶴の髪を布で挟んだりして乾かした。
それはもう大切そうに。


千鶴の背中を愛おしそうに土方は見つめる。


「綺麗な、髪だな。」
「え、そうですか・・・?土方さんの髪の方が綺麗です。漆黒で、艶もありますし・・・特に月の光に照らされている時が一番綺麗です。」


自分の髪を褒められたことなど今までなかった土方は、何だか照れくさくなり何言ってんだと千鶴の髪をツンと引っ張った。
照れ隠しだということには千鶴も気づいていたが、あまりにも可愛かったので見過ごしてあげることにした。

痛いです土方さん、と笑いながらそう言った。
すると土方は更に引っ張る箇所を増やし、交互に引っ張り始めた。


まるで小学生くらいの男の子が好きな女の子にちょっかいを出すような光景であった。



「土方さん、」
「ん?」
「子供っぽいです・・・。」
「んだと?」


土方は今度は千鶴の頬を両方から引っ張った。
千鶴の頬はぷにゅっとしていて結構伸びる、これが面白くて土方は限界まで伸ばす。

千鶴がやめてくださいと抵抗するが、土方のツボにハマったらしく、止めそうにない。
観念したのか千鶴はもう抵抗するのをやめた。


「ん?もう降参か。」
「土方さんの笑顔が見れたので、もういいやって思いまして。」


振り向いた千鶴はにっこり笑ってそう言った。



「・・・、」
「土方さん?」
「・・・ったくお前は・・・。」
「え、何ですか?」
「何でもねえよ。」
「ええ?教えて下さいよ!」

しつこく聞くが土方は答えそうにない。
千鶴はわけが分からず首を傾げた。



(可愛すぎんだよお前は!)
(と、突然どうしたんですか?!)

千鶴の押しに負け、結局本音を言うことになった土方であった。







End.
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