薄桜鬼U

□絶対譲らない
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今日はいつもより屯所内は騒がしかった。
珍しいお客様が来ているからだ。

そのお客様とは、いつも偉そうな風間千景と、千鶴大好き!な千姫のお二方。
どちらも目的は同じであり、その目的とは勿論千鶴に会うことだ。

屯所を訪れて早々、千鶴の部屋へ猛ダッシュで向かう風間と千姫。
どちらが千鶴の部屋に先にたどり着けるか、この2人には何かあれば千鶴を巡って勝負をする。

そんな2人に千鶴は振り回されていた。
そして今日もまた、振り回されるのである。


「とうちゃーく!今のは私の方が早かったわね!」
「何を言っている?俺の方が早かったに決まってるだろう。」
「はあ?何言ってるの?!私の方が絶対早かった!」
「いや、俺だ。」


千鶴の部屋に到着して早々、始まるくだらない争い。
毎回こんな感じで振り回されている千鶴は流石に慣れてきたらしい。
苦笑いで彼らをいつものように部屋に招き入れ、お茶を淹れに立ち上がり、部屋から出て行く。

そして、収まっていたはずの争いは再び始まる。



「今の千鶴ちゃんの顔見た?あんたが来たから嫌そうな顔してたわよ。」
「・・・ふんっ。お前が来たからだろう。」
「なんですって?!」
「違うのか?」



鋭い目、相手を殺しそうなほど。
数分前に戻ってきていた千鶴は2人の迫力に圧倒されて部屋に入れずにいた。

勇気を振り絞りやっとのことで部屋に入れた千鶴。
淹れたての茶と和菓子を差し出して、千鶴も腰を落とした。



「で、今日はどんな用事ですか?」
「千鶴ちゃんに会いに来たの!」「会いに来たやった。」


約1名素直になれていない者がいるが気にせず、千鶴は素直に喜んだ。
自分に会いにわざわざ足を運んでくれる人がいることは、とても幸せなことだった。
嬉しそうににこにこと笑う千鶴につられて2人も笑顔になった。


「2人とも大好き!」
「・・・っ。私も!」「ふ、ふん・・・っ。」




(でも愛の大きさは私の方が大きいわね!)
(いや、俺だ。)




End.
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