薄桜鬼U

□君と一緒なら
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千鶴が大事な話がある、と言っていつもよりご飯を早めに作り片付けを済ませた今。
その大事な話を聞く覚悟を俺はしていた。

正直どんな内容なのか全く検討がつかなくて、俺の心には不安しかなかった。
しかも千鶴があまりにも辛そうな今にも泣きそうな表情で俺を見つめるから俺も辛くなる。
いったい、どんな内容なんだろう。

そんなことをボーッと考えながら、千鶴が口を開くのを待っていると千鶴は何かを決心したように口を開いた。



「あ、あのね。驚かないで、聞いて欲しいの。実はね、」
「お、おお・・・。実は・・・?」


あまりにも真剣な表情と声色に俺は心拍数が限界まで上がっていた。
別れ話とかだったら、どうしよう。

またそんなことが脳裏に浮かぶ。
俺は頭をぶんぶんと振って、そんな考えを頭から追い出す。



「実は・・・こ、どもが、できたみたい・・・。」
「こ、こどもお?!」



俺は驚いて、後ろに倒れそうになってしまった。
俺が想像していたのと、全く違う言葉だった上に、嬉しすぎる情報。
俺は自然と頬が緩み、千鶴に抱きついていた。


千鶴は俺の喜びようを見て、一粒の小さな涙を流しながら笑った。


その笑顔は今までで一番綺麗で、見惚れてしまった。
胸をどきゅんと射抜かれたような感じ。


俺は胸を手でおさえ、高鳴る鼓動を静めた。



「ち、千鶴!そ、それ本当なのか?!」
「う、うん。平助くんは、子供できて嬉しい?」
「当たり前だろ!俺と千鶴の子、かー・・・。どんな名前にする?!女の子かな?それとも男の子?」
「ふふっ。まだわかんないよ、平助くん。」


千鶴は小さく笑い、おなかを大事そうに、包み込むように撫でた。
その仕草を見て、改めて子供が出来たんだなと認識させられた。

でも、俺は千鶴とならどんなことがあっても生きていけると思っている。
この先、どんな試練も千鶴と二人で、いや三人で乗り越えてみせる。



「なあ、千鶴。今、幸せか?」
「うん、とっても!」


最高の、笑顔で君はこたえる。
俺も最高の笑顔で頷いて見せた。





(どんなに辛いことも乗り越えられるよ)





End.
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