薄桜鬼U

□花より千鶴で何が悪い
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何故、お花見をすることになったかと言うのは千鶴がしたいと言ったから。
誰よりも千鶴を可愛がっている近藤さんがその言葉を無視するはずもなく、翌日にお花見をすることになった。

ちょうど屯所内の庭の桜が綺麗に咲いていて、花見には最適な場所になっていた。
庭は結構広いし、人数が多くても大丈夫。

千鶴は皆で花見が出来ることが相当嬉しいらしく、朝からうきうきしながら料理を作っていた。
その料理をつまみ食いする輩がいれば、さえばしでバシッと叩きつけるという、行動にも出る千鶴。


それほど花見が楽しみなんだなって思った。


「それじゃあ、今日はゆっくりしてくれ。」
「「はい!」」


近藤さんの言葉を聞いて再び笑顔になる平隊士達。
普段の彼らの生活に「ゆっくり」という言葉など存在しないので、今日は羽目を外すつもりだと直感的に感じ取った。



「えっと・・・原田さん。隣いいですか?」
「ああ、千鶴なら大歓迎だぜ。なんなら俺の膝の上にでもくるk「何言ってるの、左之さん。」


千鶴が左之さんの隣に腰を下ろそうとした瞬間、誰かの手が千鶴の腕を引っ張り立ち上がらせた。
その手の正体は、S王子こと沖田総司。

千鶴にものすごく執着している男で、俺達の恋敵の一人だ。


総司は、原田の言葉が相当気に食わなかったらしく、ものすごい顔で左之さんを睨んでいた。




「左之さん、ちゃっかりいい位置取らないでよ。」
「別にそういうわけじゃねえって。」
「どうだか・・・左之さんの笑顔はいまいち信じられないんですよ。」
「お前にだけは絶対に言われたくない言葉だな、そりゃ。」



この二人は仲いいときは本当に仲いいのに、一度喧嘩になるとすごいんだよな。
暴れまわって障子に大穴開けるわ、襖ぶっ壊すわで毎回修理に金かかるからそのときの食事はものすごくわびしかったな。

そんな懐かしい思い出に浸っているとさっきよりざわざわと騒がしかった。



「悪いが俺も引く気はない。」
「ふん、上等だ!まとめてかかってこいよ!返り討ちにしてやる!」


千鶴の両隣を巡り大喧嘩に発展したからにはもう誰にも止めようがない。
俺はそっと傍で見守ることにした、そしたら千鶴にちょいちょいと手招きをされたのでそこに行く。

千鶴は小さく笑い、ぽんぽんと隣の席に座るように指示した。
俺はちらっと土方さん達に目をやった後、遠慮気味に座った。

いつの間にか、反対の千鶴の隣席は山崎くんが座っていた。



「ごめんね、平助くん。みんなばっか楽しそうにしてるから話し相手いなくて寂しくて・・・。ごめんね?」


そう上目遣いで言われ、俺の胸はきゅんと鳴った気がした。
千鶴に頼られて嬉しくないはずがない。

俺は知らず知らずのうちに、ニヤけていたらしい。



俺は山崎くんに注意されたあとも、なおニヤニヤと笑いが止まらなかった。




(悪いとは言っていない。)




End.
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