story

□心ナク笑ウ貴方
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「愛してる」



それがどんなに残酷な言葉でも−





心ナク笑ウ貴方







「み・・・ず」
昨日から何も与えられていない
俺は枯れた咽喉を潤わそうとロックオンに
水が欲しいと乞う

手枷を填められ、鎖でベッドの脚に繋がれていて自由に動くことができない


−苦しい−

でも、俺はこの場所から逃げ出そうとは思わない

それは何故なのか

自分でもわからない

思考が麻痺しているのか


「み・・・ず・・・」
俺はもう一度、ロックオンに乞う


ロックオンは読んでいた雑誌を閉じると
ゆっくりと立ち上がった

手には俺の望んでいる水ではなく、
アルコールのボトルを掴んで




俺の目の前に立ちニコリと笑うとアルコールのボトルに口をつけた

そして、俺の頭を乱暴に掴んで


口付ける





「う・・・ぐっ・・・」
口の中にアルコールが流れ込む

咽喉が枯れてしまっているせいか
それともアルコール度数が高いせいか

焼けるように熱い



「・・・っ・・・は・・・」
水音が立ち唇が離れた
「げほっ・・・」

濃いアルコール臭と咽喉の痛みに耐え切れなくなり咽た


そんなティエリアを見て
ロックオンはまたニコリと笑い




耳元で




「愛してる」と囁く
だが、きれいなライト・シー・グリーンの瞳の奥には冷たさが感じられた











「愛してる」




酔い始めた


頭の中に廻る


何度も何度も


焼き付けられる






酷く残酷な言葉
 

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