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□ハートのまんなか
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「サンジ君てさ、馬鹿みたいだよね。」
「あなたは本当に唐突ね。」
「だってそうじゃない。
女の子を見れば同じように愛の言葉を囁いて、舞い上がっちゃってさ。」
「なにか不満でも?」
「ええ大有りよ。
なんだか女を馬鹿にしてるみたい。
だから馬鹿みたいな奴だって言ったのよ。」
麗しきレディたちに、丹精こめて作った特製イチゴのムースケーキをふるまったあと。
俺は細心の注意をはらって、ティーポットにお湯を注いでいた。
紅茶の葉がうまく広がるように、お湯の角度を調節する。
とは言え、ダイニングから聞こえるガールズトークには耳を澄ましている。
ナミさんは涼やかな明るい声、ロビンちゃんは大人っぽい落ち着いた声。
ああなんて素敵なんだろう、なんて思ったり。
「俺の話?」
キッチンから声をかけてみるが、どうやら二人は話に夢中で聞こえなかったらしい。
俺は気をとりなおして、ティーセットと格闘する。
それぞれの好みがある濃さ、温度、甘さを加味して、いちばん美味しく飲めるところを探る。