MAIN2
□両手に空を、胸に嵐を
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わずかな時間:Letters
「おい山猿。」
深夜のガレーラ本社、溜まりにたまった書類整理のために残業が続いていた。
子部屋でせっせと製図のチェックをし、ファイリングしていくカクに、ルッチが地声で呼びかける。
「なんじゃ鳩男。」
作業を止めようともせずにカクはこたえる。
「もし誰かがいたらどうするんじゃ。」
「俺たち以外、みんな今頃夢の中さ。」
「ふ、確かにのう。」
ルッチは作業を中断し、眠気覚ましの熱いコーヒーを二人分淹れる。
「おう、すまんの。」
カクもいったん手を止め、ルッチからコーヒーカップを受け取る。