MAIN3
□educe
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:[動]〔潜在能力など〕…を喚起する
ガレーラカンパニー創立の、少し前のお話。
炎天下のとある造船ドッグ。
「よう、調子はどうだ。」
「アッ、アイスバーグさん!
こんにちは!」
「調子はどうだと聞いてるんだ。」
タンクトップに汗で濡れたタオル、腰にたくさんの道具を提げ、材木を削っているパウリーにアイスバーグは声をかけた。
青年は薄汚れた顔をタオルで拭うことも忘れて、突然訪問してきた尊敬者に慌てた。
「げ、元気です!」
「ははは、何をそんなガチガチに…」
アイスバーグはたいそう面白そうに笑った。
フランクな彼のようすに、パウリーの緊張はわずかに解かれる。
「俺なんかに何か用ですか。」
「ちょっと偵察な。」
アイスバーグはパウリーの手元を覗きこむ。
パウリーは息を飲み込み、さっと体をどける。
木屑の山を手で確かめ、パラパラと落とす。
削られた材木をなぞり、感覚でその出来を見る。
「お前には向いてない。」
「え。」
アイスバーグの言葉に思わず呆然としてしまう。
パウリーの右斜め前に立つ彼の表情は読めない。