MAIN2

□両手に空を、胸に嵐を
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カクの製図机に腰掛け、長い足を組むルッチ。



「終わりそうか?」



「いいや、まだまだじゃな。
これは徹夜になりそうじゃ。」



カクはカップにふーふーと息を吹き掛け、おそるおそる湯気のたつコーヒーを飲む。



「ああ美味い。
というかなんじゃ、いきなり。
お前が話しかけてくるなんて珍しい。」



「最近な、胸が疼くんだ。
あー、人間にこの指を突き刺して鮮やかな血を見たいってな。」



「処女でも抱け。」



「どういう解釈だばか野郎。」



ルッチはコーヒーの湯気越しにぎらりと睨んだ。



「ははは、怒るな冗談じゃ。
お前はほんと、恐ろしい男じゃな。」



「自覚はしてるさ。
お前みたいに空を駆け回りゃ、このストレスも晴れるかな。」



「ああ、おすすめじゃぞ。
風が気持ちいいし、いい運動にもなるし、なにより景色が綺麗じゃ。
お前もやってみろ。」



「ふん、誰が。
カクの真似事だと思われるだろ。」



ルッチはまた一口、コーヒーをすすった。



カクもつられて、少し冷めたコーヒーをすする。
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