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□勇者たちの行進
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:人知れず戦った海軍の話さ
あれほど吹き荒れていた砂ぼこりが嘘のように雨に流され、視界はすっきりと明るい。
麦わらの一味は先に宮殿へと戻った王女を追い、疲れた体を引きずっていた。
「おいゾロくん!
足を持って引きずるのは痛い!」
「うるせぇな、じゃあ自分で歩け。」
ぞろぞろと宮殿への道を行く一味の最後尾で、ゾロとウソップは相変わらずのやりとりをする。
チョッパーはそんな二人をかいがいしくなだめる。
「足の傷が雨にしみるわ。」
騒がしい最後尾を無視して、ナミは独り言をつぶやく。
血まみれのサンダルがなんとも痛々しい。
倒れたルフィを背負って歩くサンジは、心配そうにナミの顔をのぞきこむ。
「大丈夫かい?
俺は本当はこんな猿より君を背負ってあげたいんだけど。」
「平気よ。
宮殿にさえ着けば、後はビビに傷の手当て頼むだけだし。
サンジ君こそ大丈夫なの?」
「そんなに俺の心配を…」
やたらとテンションの上がった金髪をまた無視して、ナミはため息をついた。
「なんか拍子抜けしちゃうわ、英雄気分を味わいたかったのに。」