MAIN2
□There is a ship
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船が一艘、大海原を進んでいる。
今にも沈まんばかりに重く荷を載せて。
それでも愛の深みに横たわる、この身ほどではないだろう。
浮き続けるのか沈むのか?
それさえも分からない。
愛は穏やかで優しく、かぐわしき花のごとく美しいもの。
それも時が経つにつれ、枯れ、冷えきったものにかわりゆく。
そうして朝霧のように、消えて無くなってしまうもの。
向こう岸は遠すぎて、とても渡ることはできない。
鳥のように飛んでいくこともできない。
今ここに希望が一艘あったなら、そうすれば旅立てるだろう。
「…愛だけを乗せて。」
ナミは燃えゆくメリー号に、ひっそりと胸のなかでフォークソングを送った。