Magic of love
「加地くんのキス、魔法みたい」
「え?」
「だって、その日あったやなこと忘れて、すごく幸せな気持ちになるの」
そっとその甘く柔らかな唇から離れたあと、彼女は照れくさそうに笑ってそう言った。
ああ、それなら僕にとっては君自体が魔法のようだよ。
君さえ隣りに居てくれれば、どこまでも昇れそうだもの。
彼女が"僕の彼女"であることが、僕にとってどれほど幸せなことなのか、きっと彼女は知らない。
君に恋い焦がれ、叶わない思いだと半ば諦めかけていた頃、突然君に好きだと告げられた。
本当にそのときの喜びと言ったら、どう表して良いのかわからない。
その時に君にかけられた魔法は、多分一生消えないんだろうな。
「…好きだよ」
「…うん。わたしも好きだよ。…ふふっ。これも魔法みたい。すごく幸せ。
…ね、もういっかいキスして…?」
「ふふっ。君が望むなら何度でも」
こうやって、僕らは互いに魔法をかけ合いながら、日々、過ごしていく。
僕の隣には君。君の隣には僕。
そんな当たり前の至幸の日常を。
愛し愛されるということは、両側から太陽を浴びるようなものだ。
−デヴィット・ヴィスコット−