「や。雲雀君。元気してる?」
ひょうひょうとやってきた一人の少女。
その姿を見て、雲雀は顔をしかめた。
「…元気だったら入院したりしないよ」
「そーゆーことじゃなくてさー。…まぁ、割と元気みたいだね。よかったよかった」
コトンと自分の荷物を傍にあった椅子におき、
自分はもう1つの椅子に腰をかけ、持ってきた林檎を果物ナイフで剥き始めた。
「にしても君が風邪なんて似合わないねぇ」
「…誰のせいで風邪ひいたと思ってる?」
「…やっぱあたしのせい?」
「そうだよ。全部君のせいだ」
今から数日前、雲雀は学校からの下校中、急に名前を呼ばれ振り向いた瞬間、
彼女にホースで水をぶっ掛けられ、当然キれてしまい、咬み殺そうと濡れた服をそのままにして追いかけていたので、風邪をひいてしまい今に至る。
こんなふうに雲雀はいつも彼女に振り回されている。
「何だよー。年下のくせに生意気〜」
「君にだけは言われたくないね」
「はい、あーん」
「・・・」
綺麗に剥き終わったりんごを雲雀の口元に差し出す。
雲雀はそれにむすっとした表情をみせ、いらないと顔を背ける。
「まぁまぁ。いいから、はい、お口あけて雲雀君」
「・・・」
――シャクッ
こうして今日も彼女は台風のごとく、雲雀の心を荒らしていくのだ。
年上の変な女の子に振り回される雲雀君。