BLEACH部屋

□Colorless
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心の中で繰り返す問い掛けは言葉遊びのようで
結った赤糸を指に絡ませ
凝り始めればきりがない。

本当は、本当に単純なことだったのにね。

あたしはきっと
あんたと居るつもりで、一人遊びを続けてたんだわ。




***********



先寸までの鈍さが信じられないぐらい、自由に身体が動いた。

これ程周囲の世界が無関係なものに感じられたことはない。


どいて、どいて‥


有象無象をかき分け絶望の正体を探していると
振り返ったそれは仮面をつけたまま笑い、あたしの腕を掴む。

お前はこれが見たかったんだろう?

そう言って仮面を外した素顔が眼前に押し付けられた。



やめてよ

もう遊びはおしまい
家に帰りなさいよ。



腕を振って払いのけると
仮面は驚いた表情を浮かべて離れていった。



ギン

ギン、あんた‥‥



あの日からずっと解らなかった。

あんたが見ているもの
どこに行きたいのか、何を追いかけてるのか。

色のない世界。
日常を失くした重圧が胸を締め付ける。

仮面の向こうから覗く無機質な人々の顔。

‥あんたはこんな所で笑っていたの?




割れてしまった狐のお面。

墓石のように白い台座に力無く彼の腕が伸びていた。

叫んでいるのは自分だ。
耳をつんざくこの悲鳴の主は。


世界が色を取り戻そうとしていた。
何かの気まぐれが、2人に与えた時間は過ぎつつある。


背後から近づく気配に振り向くことはしない。




眼を開けて
あたしを見て

眼を開けて‥





長い髪が顔に張り付いて邪魔をする。

あたしはもうあんたに拾われた時の少女ではないけれど
それは解ってる。

あの頃には戻れないんだとしても



もう帰ろう?ギン

家に帰ろう。



一緒に家に帰れるのはあんただけなの。







(fin…)

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