ガンダムSEED部屋
□笑う月
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目を開くと毛布にくるまったキラがちょこんとベッドの端に座っていた。
「キラ‥?」
返事がない。
シンは投げ出されている左手をそっと握る。
するとキラが振り向いて言った。
「僕‥行かなくちゃ。」
その不安な響きにシンははね起きて手に力を込める。
「どこへ‥?」
「地球に。」
シンは息を飲む。キラが決めてしまった。
「俺の傍にいるって言ったくせに。」
悲痛な声でシンは言った。
「ごめん‥。」
「俺が一番大切だって、言ったくせに。」
キラがシンの目をのぞき込む。分かってる。
キラは嘘つきだけど自分に嘘はつけないんだ。
「大切なのは君だよ。」
哀しそうに窓の外の光景を見やる。
「どうしてだろうね、いつだって一番大切なものが一番選べないんだ。」
哀しい瞳は戦火を映して
こんなおかしな事はないと
月が
笑う
(fin…)
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