スレイヤーズ 書庫
□Somewhere
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「ふにゃ‥」
気がつくと再びベッドの上だった。
今度はちゃんと服が着せてある。
しかし一体誰がそうしたかを考えると頬が熱くなった。
「目が覚めましたか。」
話しかけられた声にびくっと肩が揺れる。
おそるおそる振り返るともう一方のベッドに腰掛けたゼロスが笑顔でこちらを見ていた。
「うん‥」
何となく気まずくて視線を逸らしながら起き上がる。
自然と手が顔に行った。
間違いない。
顔も髪もこの身体に宿る魔力も全て自分のものだ。
どう声をかけようか迷っているとゼロスの方から話をし始めた。
「リナさんが寝ている間に考えたんですが‥今の貴方は僕と此処にこうしている事が理解出来ないようですね。」
黙ってこくりと頷くリナに少し困ったような顔で
「最初はリナさんの身体に何か別の物が入り込んだのかとでも思いました。
‥しかしそうではない。貴方はリナさんです。」
噛み締めるような一言が不思議に感じられて思わず口を開く。
「何でそんなにはっきり言えるの?」
すると彼は笑って
「僕に貴方が分からない筈ないでしょう?」
その時初めてリナは彼の顔をまともに正面から見つめた。
ぽかんと開いた口に眉を潜めるゼロス。
リナが震える指先を向けた顔には今までは気づかなかった変化がはっきりと顕れていた。
顔そのものは確かに彼の顔でしかない上に、その違いが意外過ぎたのかも知れない。
「ゼロス。あ‥あんた」
「はい。」
「おっさん。」
「はいい?」
「おっさんになってる〜〜!!」
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