スレイヤーズ 書庫

□Lost Memory
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気も遠くなるほどの時を宇宙の闇でたった独りさ迷う。

…酷いわね。

孤独よ。
狂うことはない、貴方は理性の塊だから。

それじゃまるで地獄じゃない。

そう、貴方じゃなければ耐えられない。

慰めになるか分からないけど、前世で縁が深かった連中の転生体とは会うことになるかも…ね。

ただしどんな出会いになるかは予想もつかない。
かつての仲間が敵になることだってある。逆もまたしかり。
同じことが再びは起こらない。



あたしが…っ
どうしてよ…。

なんであたしなの?




解ってると思うけどここで話したこと聞いたことは全部忘れるのよ?

それでもあたしは知りたいの。

では・・いいわ。
これが答えだとは思えないだろうけど

いつか
長い長い年月の果てに貴方は自分が自分であることに感謝する日が必ずくる。

その時貴方は思うはず、失いたくないと。
そして黒い太陽の中に自ら手を伸ばす。



…そんで?



それでおしまいよ。
私が教えられるのは。


はぁあ?ちょっとっ
先が気になるじゃないっ。
なんであなたに知らないことがあるのよ?

本当に解らないのよ。
まだ決まってないの。
その時になってみないとそこに居る者達、貴方や貴方に敵対する者達がどう動くかは…ね。
今言ったことはまだ夢、曖昧なビジョンでしかない。
それが悪夢なのかそうでないか…見てみないと解らないわ。


ふうん。随分と不確定要素が多いのね。

不満?

いいえ、未来なんて分からない方がいい。
自分の力で変えられると思いたいもの。

貴方らしいわね。


さっきの話からすると、あたしは何かを守るために戦うの?

何かを…誰かを?



覚えていないだろうけど貴方は仲間のことをそれはそれは大切に思っていたのよ。


あたしが。




遠い昔ね。



思い出せないわ。



思い出せないことが一番大切だってこともあるのよ。



それはあなたもなの?



…さあ質問はもううんざり!
時間だわ。
目覚めるの、新しい貴方が。


ちょっと待った、最後にもう一個!
あたしの名前を教えて。あたしの新しい名前。




サービス過剰だって、思うんだけどねぇ……。

キャナル。
白き遺失船(ロストシップ)キャナル・ヴォルフィードよ。








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