スレイヤーズ 書庫

□tear
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「そうですか、貴方はレイナさんとおっしゃるんですね。
いやぁあんまり似ているものだから見間違えてしまいました。」

川を見下ろす坂の上で2人は並んで腰かけていた。
リナに瓜二つの少女は、よく見ればゼロスが知るリナよりも幾分か幼かった。

レイナは盗賊から奪い取ったお宝を鑑定しながらゼロスに不審げな目を向ける。

「ところでおっちゃん、随分昔の母さんのこと知ってるみたいだけど何者なの?」

おっちゃんという言葉にゼロスの笑顔がぴきりとひきつる。

「おおおおっちゃんは止めてください!
僕は謎の神官、ゼロスという者です。」

レイナがますます眉根を寄せると、ゼロスはあわてて彼女の胸元を指差した。

「ほらほらそのタリスマンは僕がリナさんに差し上げたんですよ!」

「‥これは貰ったんじゃなくて買ったって言ってた。」

「そうそう!本当は売るなんてとんでもなかったんですが、彼女が550で買うとおっしゃった時に‥」
「550万ならいいって言って売る羽目になった、でしょ。」

「‥その通りです。」


レイナが指でそっとタリスマンをなぞる。

「そこまで知っておられるなら使い方もご存知なんですね?」

ゼロスはにこやかに少女を見つめる。

「ええ‥使う必要はないけど。今の所は。」

「今の所は、ですか。」

少女から川の流れに目を転ずる。

隣に居る少女のキャパシティは普通の人間のものより遥かに大きい。
そう、特大の風呂桶サイズの才能が彼女の中には眠っている。

「ところで今リナさんはどうしてらっしゃるんですか?どうやらご一緒ではないようですが。」

タリスマンに宛てていた手をぎゅっと握りしめると、レイナは驚いたようにゼロスを見上げた。


「‥知らないの?母さんは」
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