スレイヤーズ 書庫

□Somewhere
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朝の光というのはその時々の気分次第でどうとでも解釈可能な代物である。
爽やかな白い陽射しが今朝はやけに眩し過ぎた。
おまけに何だか分かんないけど体が重い、だるい。

おかしいな−

昨日はいつも通りガウリイと夕飯を平らげてからすぐ床に着いたはず。
たかだかディナー三人前が胃にもたれる訳もない。

そんな風にグズグズと考えて瞼を開こうとしなかったのは、これから目の当たりにする現実をわずかにでも逃避したかったからかも知れない。



ああもう重いったら

ばちっと開いた眼にまず映ったのは紫がかった暗い色の髪。
あたしと違う真っすぐの、見覚えがある。

姉ちゃん?

‥我ながら馬鹿な事を考えたもんだと思う。
それでも迫り来る現実に向かって必死に回避行動をとりながらあたしは
同時に狂気じみた好奇心につき動かされてもいた。

ばちばち

続けてまばたき。

ばちばち

ぐきぐきぐき‥

首を捩曲げた先にはやはり見覚えのある端正な顔。
いつも細い目で笑ってはいるものの、それが寝顔となるとだいぶ印象が変わる。

へー

なかなかのハンサム、と形容した事があったが近くで見ると本当によく整っている。
パシリとはいえ流石は上級魔族。

ぐきぐきぐき‥

再び逆方向に頭を向けると自分の手が視界に入った。
そして重ねられた大きな手。



うん‥?

天井に向かって眼を見開いた瞬間、今までバラバラに見えていた絵が一つに繋がった。

一糸纏わぬ裸でシーツの上に寝ているのがちっとも寒さを感じなかった。

変わりに包み込むような安心感を与えてくれる肌の温度。
体にかかる重みも不思議と不快ではなかった。

戦いのさなかガウリイの背中に対して感じるものと似ていたが少し違う。

だってそんな筈ない。

あんたは違う。

あんただけは




「‥ゼロス。」


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