ゴミ詩T

□最果、そこに残ったもの
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【最果、そこに残ったもの】



幸せとは言えなかった
勘違い、すれ違いばかり
何度も 何度も 別れを繰り返したね

君が倒れたのはそんな最中
本当の別れが近付いていることを知った

啀み合ったこともあった
恨み、恨まれたこともあった

それでもずっと君と一緒に居たのは何故だったんだろう
君を喜ばせることも出来なかった…

別れの日、君は僕を呼んだ
今にも消えそうな 小さな、小さな声で君は言った

「私、不幸だったかもしれない…
 私の知る誰より不幸だったかもしれない…
 でも…私、幸せだった…誰より幸せだった…
 ありがとう…」

ありがとう
その一言は心の一番敏感なところを抉った

恨み、恨まれ 幸せとはとても言い難かった
それでもずっと君と居たのはどこか安心できたから
君を喜ばせることも出来なかったけど…大好きだった

それこそが『幸せ』だったのだと…

「ありがとう…ありがとう…」
安らかに眠る君の手を握り囁く
僕はこの日 初めて真っ直ぐ君を見た




 

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