poem

□空追人
1ページ/1ページ



【空追人】



見上げた空にお日様が浮かぶ。
何も知らないように光る物体は、本当は何でも知ってるくせに喋らない。
見つめ続けて目が焼けたら、知らないところで笑うんだろう。
踏み出した先に地面があったから、まだ大丈夫だと思って。→後ろの道が消えてる事にも気付かずに。
ズルズルズルズルズルズルズルズル、未練がましく引き摺ってるつもりで、引かれているのは自分だった。
首に垂れる荒縄を握る先導者に「誰そ彼は」と問い掛けて、振り返った顔を知り過ぎていたから絶望する。
両の手を頭に宛てがい、フラリフラフラ、ユーレイの真似事でもすれば、ダレか会いに来てくれるのか。
見上げた空のお日様は、やっぱり今でも他人面。
「?りもつるてっ知をみし苦」
「憎しみを知ってるつもり?」
ユラリユラユラ、結局彼奴もトモダチを探している 〜生涯孤独がよく言うよ。
違和感に振り返ろうとしたとて、盲目の先導者がいるのだから仕方がない。
手綱を引く顔は、かつて鏡で見たものなのに、あんなに無表情で泣いてただろうか。
記憶に焼き付く瞳は、あの時確かに生きていた。
視線を滑らすと真っ暗闇。
今も左右も、そう、前さえも、後ろだけが僅かに明滅する、それだけが疎ましい。
救いを求めて吸った生臭い空気に、望ましい答えは含まれていなくて。
先導者はしゃくり上げ、断罪のように走り出す。
一瞬だけ見えた背景で、笑っていたのは誰ですか?
気が付けばまた空の下。
落日ついでに落莫を探そうと見上げ、曇り空に息を呑む。
知らん顔のお日様は、いつの間にやら隠れん坊。
チロリと覗く五月雨狂気に、喉から出た手が噛み付いた。
標を失った幼い先達は=[堕落陥落零落落落]
世界一難解な隠れん坊。
明けの空には期待が出来ぬ、やあやあ、いざ醜状を晒し給え、大馬鹿者のひぃふぅみぃ。
そう、こちらを窺う顔は、疲れたように笑っている。
同情したまま何もしない、いつかの空の如く。
全ての歴史を知ってる君なら、吐き気の一つも覚えただろう?


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ