poem

□環境破壊と君の笑顔
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【環境破壊と君の笑顔】



窓の外に比べれば閉鎖的で、小瓶の中に比べれば開放的で、所謂中途半端な器に浮かぶ物体を神様は心臓と呼んだ。
さぁ、この中に詰められるものには限度がある、君は何を入れるかな、と。
産まれる前に人は必ず訊かれて答える。
夢だの希望だの愛だの美だのと、ほざく奴は必ず不幸になる。
ただ血液をと、望んだ私は温暖化社会に馴染んでいく。
私が言えることと言えば、君に「くそったれ」。
冬の空に降る、氷の粒ほど優しくもない。
笑う君の顔を、焼いてしまっても君を好きでいられるだろうか?
安い情熱は二酸化炭素を気にするような活動力もなく、結果として何も生まずに消えていくから、私は今を生きている。
君が笑う度に壊れる、それだけが地上の娯楽で。
明星すら私を奏でるには至らない。
眼鏡を掛けねば見えぬ世界に意味はなく、五感を駆使するのは疲れたから君を愛すことにした。
まあ、見渡せばなんてステキな世界だろう、淀んだ空気すら美味に感じる、これをきっと人は愛と呼ぶんだね。
後頭部の口が饒舌にほざく折、私に解ったのは子猫が鳴いたことだけで。
世界の顔はなんて滑稽なんだろう。
君は今日も笑う。
笑う。
笑う。
壊れる音というのが聴こえたら、それはどんなに心地良い子守唄になるのだろうか。
眠り方を忘れた私は、君に「くたばりやがれ」。
安眠とは程遠い場所で、心臓が僅かに痙攣した。
コイセヨオトメ。
鼓動に混じるノイズがそう聞こえたのを、幻聴と片付けられる程に実は逞しくもない。
口を開けて待ってる程子供でもなければ、与えられる程大人でもないから、奏でた正体を見て見ぬふりをする。
明星が私を呼んだ、これこそが幻聴で。
君がこの世界に食い込んで来るのが堪らなく痛い。
排出される二酸化炭素が、ほんの少し熱を持ったことに恐怖する。
溶け込んだ私が揺らぎ始め、血液が酸素を求め出す。
無難に生きる術を無くし滑落する世界に投げ出された私の狡猾な生態系。
初めて泣いた君を、ただ、愛しいと思った。


 

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