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□bitter
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両手に抱える程の綺麗な箱。
その数だけ胸がざわめく。
だって俺は……
彼の手から箱を取り上げ、誰かの想を一つ口に放り込む。
「長谷川せんせ」
首に手を回してねだる様にキスをする。
「本当に…困った人だね。」
「何だよ。アンタだって好きな癖に。」
この関係かキスか……このシュチュエーションか分からないけど。
何れか一つくらい好きだろ?
何度も唇に触れる感触と甘い香りが頭を支配する。
深く深く重ねて、激しく求めたのは溶けてゆく小さな欠片ではなくて。
「ほら…口…あけて」
「ん……」
コロンと新たに舌に乗る小ぶりのチョコ。
先程よりも少し苦い。
「ん……おいしぃ」
「坂田先生……俺にも別けて」
「んっ……ちゅっ…」
音を立てて唇を離すと、切なくなってきつく抱きしめた。
好きだ、愛してる。
口から出そうな言葉をぐっと堪える。
身体から力を抜けば、そのまま彼の愛撫に飲まれていった。
end