for you01

□君の為に。
1ページ/4ページ



飲み屋で口にするのは、いつも決まった名前だけ。
アイツは〜なんて言いながら顔は満面の笑み。


楽しそうに話す君が好きだから……。
自分の名を呼んでくれなくても満足できる。



そう思ってた。
でも……



「……どうして…好きになっちまったんだろ〜な……あんな奴」
「…銀さん……」


小さな声でそう呟いた。
胸が……痛い。


「ねぇ……こんな俺を軽蔑する?」


酔ったからか、妙に色を含んだ目付きで俺を見上げる。


「そんな事……」
「優しいねぇ長谷川さんは……」




名を口にされるだけで跳ねる心臓。
──重症だ……。


落ち着かない心を隠す様に
グラスを傾け酒を煽る。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ