子猫物語

□出会い
1ページ/2ページ



最初はやわらかい光と心地よい暖かさに包まれていた。



たくさんのきょうだいとだいすきなおかーさん。


ねむりからさめて、おっぱいをおなかいっぱいのむ。


おなかいっぱいになって、またねむる。



ときどき、きょうだいとけんかするけど、そのたびのおかーさんがやさしくしかる。




ただただ、やさしいだけの日々。


それがずっと続くと思っていた。


だからいつのもの様に安心して眠りについたのに・・・







次に気がついたときは真っ暗だった。

“よる”ってやつかな??

いつもと違う“よる”


とても寒い。
いつもそばにいるおかーさんのぬくもりを探すがみつからない。

とても寒くて、そばにあった小さなぬくもりに顔を寄せてみる。

徐々に冷たくなっていくぬくもりにおかーさんを思いながら、再び眠りについた。




“あさ”がきて、鈍い光に目を覚ます。


周りには冷たく、硬くなった兄弟たち。

上から堕ちてくる水と、氷のような寒さに身を振るわせる。

思うように動かない体をそれでも必死に動かして

最後の力を振り絞って、恋しいおかーさんを呼ぶ。


声は空しく、空に消えていった。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ