庭球夢処
□ひとめぼれ3 side:B
1ページ/1ページ
◇◆ひとめぼれ3 side:B◆◇
クラスメイトの小春ちゃんに誘われるままに、屋上に来た。
小春ちゃんと同じテニス部だという白石君と忍足君にあった。
2人とも、綺麗な顔をしていた。
(ちょっと、一緒にいると自分が惨めになりそう・・)
軽い自己紹介をしてからお弁当を広げようとしたとき、屋上の扉が開く音がした。
振り返ると、先日図書室で助けてくれた、背の高い千歳くんが立っていた。
千歳くんはなぜかドアを開けたまま呆けていて、
白石くんや忍足くんが話しかけると、慌てて扉を閉めたものの、その場から動こうとはしない。
知っている人だし、無視するのもおかしいよね?
そう考え、思い切って話しかけてみる。
取ってもらった本を喜んでもらえたから、もう1度、ちゃんとお礼を言いたかったのだ。
『この間の図書室の人、だよね?』
「ぉ、おぅ」
『この間はありがとうvv』
「あ〜、いや・・。本、間違ってなかったと?」
『うん。大丈夫』
会話が途切れる。
他に特に話すこともなく、どうしていいのか分からず、お互いに黙り込んでしまう。
「『・・・・・・・・・・』」
『え〜と・・・』
『・・・・・・////』
何も言わずに見つめられると、恥ずかしい////
(なんで、こんなに見られてるの?? 私、なんかしたかな?)
「見すぎや!千歳!!」
忍足くんが千歳くんの背中をたたき、視線が私から彼に移動する。
ほっとした。
食事が終わると、小春ちゃんと一氏くんの夫婦漫才が始まった。
いつも教室で見ているそれを、一人で堪能していると突然後ろから奇声が上がった。
びっくりして振り返ると、少し離れた場所に座っていた千歳くんが口元を抑えていた。
慌てて、駆け寄り顔を覗き込むと、顔のほとんどが手に覆われていて見えなかったけど、手で隠れていない場所は真っ赤だった。
どうしたのか聞こうとしたが、予鈴が鳴ってしまい、
白石くんや忍足くんが「なんでもない」「大丈夫」て言うので、
そのまま小春ちゃんたちと屋上を後にした。
(ホントに大丈夫かなぁ)
2009.2.27