庭球夢処

□ひとめぼれ3 side:B
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◇◆ひとめぼれ3 side:B◆◇


クラスメイトの小春ちゃんに誘われるままに、屋上に来た。

小春ちゃんと同じテニス部だという白石君と忍足君にあった。

2人とも、綺麗な顔をしていた。


(ちょっと、一緒にいると自分が惨めになりそう・・)


軽い自己紹介をしてからお弁当を広げようとしたとき、屋上の扉が開く音がした。

振り返ると、先日図書室で助けてくれた、背の高い千歳くんが立っていた。



千歳くんはなぜかドアを開けたまま呆けていて、
白石くんや忍足くんが話しかけると、慌てて扉を閉めたものの、その場から動こうとはしない。

知っている人だし、無視するのもおかしいよね?
そう考え、思い切って話しかけてみる。

取ってもらった本を喜んでもらえたから、もう1度、ちゃんとお礼を言いたかったのだ。


『この間の図書室の人、だよね?』
「ぉ、おぅ」
『この間はありがとうvv』
「あ〜、いや・・。本、間違ってなかったと?」
『うん。大丈夫』


会話が途切れる。
他に特に話すこともなく、どうしていいのか分からず、お互いに黙り込んでしまう。


「『・・・・・・・・・・』」



『え〜と・・・』


『・・・・・・////』


何も言わずに見つめられると、恥ずかしい////

(なんで、こんなに見られてるの?? 私、なんかしたかな?)


「見すぎや!千歳!!」

忍足くんが千歳くんの背中をたたき、視線が私から彼に移動する。

ほっとした。







食事が終わると、小春ちゃんと一氏くんの夫婦漫才が始まった。

いつも教室で見ているそれを、一人で堪能していると突然後ろから奇声が上がった。

びっくりして振り返ると、少し離れた場所に座っていた千歳くんが口元を抑えていた。



慌てて、駆け寄り顔を覗き込むと、顔のほとんどが手に覆われていて見えなかったけど、手で隠れていない場所は真っ赤だった。


どうしたのか聞こうとしたが、予鈴が鳴ってしまい、
白石くんや忍足くんが「なんでもない」「大丈夫」て言うので、
そのまま小春ちゃんたちと屋上を後にした。




(ホントに大丈夫かなぁ)


2009.2.27
 

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